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大阪地方裁判所 昭和58年(ワ)7737号 判決 1985年4月26日

原告(反訴被告)

山口博昭

被告(反訴原告)

中井努

ほか一名

主文

一  原告(反訴被告)の被告(反訴原告)ら各自に対する別紙目録記載の交通事故に基づく損害賠償債務は金八八〇万〇四五六円及び内金八〇〇万〇四五六円に対する昭和五五年五月一一日から支払済まで年五分の割合による金員を超えて存在しないことを確認する。

二  原告(反訴被告)は被告(反訴原告)ら各自に対し、金八八〇万〇四五六円及び内金八〇〇万〇四五六円に対する昭和五五年五月一一日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告(反訴被告)及び被告(反訴原告)らのその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は本訴反訴を通じこれを五分し、その三を原告(反訴被告)の負担とし、その余を被告(反訴原告)らの負担とする。

五  この判決は第二項に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  本訴請求の趣旨

1  原告(反訴被告)の被告(反訴原告)らに対する別紙目録記載の交通事故に基づく損害賠償債務は存在しないことを確認する。

2  訴訟費用は被告(反訴原告)らの負担とする。

二  本訴請求の趣旨に対する答弁

1  原告(反訴被告)の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告(反訴被告)の負担とする。

三  反訴請求の趣旨

1  原告(反訴被告)は被告(反訴原告)ら各自に対し、金一五八八万九四一六円及び内金一四六三万九四一六円に対する昭和五五年五月一一日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は原告(反訴被告)の負担とする。

3  仮執行の宣言。

四  反訴請求の趣旨に対する答弁

1  被告(反訴原告)らの請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は被告(反訴原告)らの負担とする。

第二当事者の主張

一  本訴請求の原因

1  別紙目録記載のとおりの交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。

2  被告(反訴原告、以下「被告」という。)らは原告(反訴被告、以下「原告」という。)に対し、一七〇〇万円の損害賠償請求権を有すると主張している。

3  よつて、本訴請求の趣旨記載のとおりの判決を求める。

二  本訴請求の原因に対する認否

1  本訴請求の原因1は認める。

2  同2は被告らが損害賠償請求をしていることは認めるが、その額は反訴請求の趣旨記載のとおりである。

3  同3は争う。

三  反訴請求の原因

1  事故の発生

別紙目録記載のとおり本件事故が発生した。

2  責任原因

(一) 運行供用者責任(自賠法三条)

原告は、原告車を保有し、自己のために運行の用に供していた。

(二) 一般不法行為責任(民法七〇九条)

原告は、友人の小西が無免許であり、かつ飲酒していることを知りながら、同人に原告車を貸与した過失がある。

3  損害

(一) 受傷、死亡

十滋は、本件事故により全身打打撲、両肺破裂、多発性肋骨々折、左肩胛骨々折、腰椎骨盤骨折、腎破裂、胸顔面背部擦過創、右前腕挫創、右下肢熱傷の傷害を負い、馬場病院に入院して治療を受けたが、昭和五五年五月一二日午前一時二六分死亡した。

(二) 治療関係費

(1) 文書費 一三〇〇円

(2) 治療費 四八万八七九〇円

(3) 付添費 六〇〇〇円

(4) 入院雑費 二〇〇〇円

一日一〇〇〇円の割合による二日分

(三) 葬儀費 六〇万円

(四) 逸失利益

十滋は、本件事故当時一六歳で、三級整備士の資格を取得しており、本件事故がなければ、日新モーターに勤務して一か月一三万一〇〇〇円の給与及び年に四か月分の賞与を得られたものであり、また、母親の被告中井ツネ子(以下「被告ツネ子」という。)経営の喫茶店で稼働して一か月五万円の収入を得ていたところ、同人の就労可能年数は死亡時から五一年、生活費は収入の五〇パーセントと考えられるから、同人の死亡による逸失利益を年別のホフマン方式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、左記算式のとおり三三六七万八四三二円となる。

(算式)

{一三万一〇〇〇×(一二+四)+五万×一二}×〇・五×二四・九八四=三三六七万八四三二

(五) 慰藉料 一五〇〇万円

(六) 弁護士費用 二五〇万円

4  権利の承継等

被告中井努(以下「被告努」という。)は十滋の父、被告ツネ子は十滋の母であるが、各二分の一の割合で、相続により十滋の損害賠償請求権を承継取得し、固有の損害につき分担支出した。

5  損害の填補

被告らは自賠責保険金二〇四九万六六九〇円の支払を受けた。

6  よつて、被告らは各自原告に対し、損害賠償金一五八八万九四一六円及び内弁護士費用を除く金一四六三万九四一六円に対する本件不法行為の日である昭和五五年五月一一日から支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

四  反訴請求の原因に対する認否

1  反訴請求の原因1は認める。

2  同2は、原告が原告車を所有していたことは認めるが、責任は争う。

3  同3(一)は、十滋がその主張の日時に死亡したことは認める。(二)の(1)は不知。(2)ないし(4)は認める。(三)は五〇万円が相当である。(四)は、十滋が一六歳であつたことは認める。額は一三五八万一三〇二円を超えるものではない。(五)は一〇〇〇万円が相当である。(六)は不知。

4  同4は被告らの身分関係は認める。その余は不知。

5  同5は認める。

6  同6は争う。

五  原告の抗弁

1  運行の支配及び利益の喪失

原告は、顔見知りではあるが従前話をしたこともない小西から喧嘩ごしで原告車を貸せといわれたため、当時原告車にはガソリンが入つておらず、ガソリンスタンドも閉店していたことから走行も不能であると思つて、しぶしぶ小西に貸与したところ、十滋は、小西に対し十滋車のガソリンを分け与えて原告車の走行を可能にしたものであり、また、十滋は無免許であり、暴走族のメンバーでもあつて、本件事故当日も警察官から警告されていたにもかかわらず、やはり無免許の小西と共に、車間距離をあけず、不必要な急ブレーキをかけるなど暴走行為をくり返していたものであるから、右状況において、原告は、本件事故当時、原告車につき運行の支配及び利益を喪失していた。

2  時効

本件事故発生日は、昭和五五年五月二日であり、右の日から既に三年を経過した。

原告は、本件訴訟において右時効を援用する。

3  過失相殺

十滋は、暴走族「ボンゴ」のメンバーであり、無免許でありながら十滋車を運転し、やはり無免許であることを承知していた小西に対しガソリンを分け与えて原告車を走行可能にし、車間距離を四、五メートルしかとらずに、ブレーキを踏んだり、制限速度時速二〇キロメートルのところ、時速六〇キロメートルにまで加速したりして、小西と共に暴走行為をくり返していた過失があり、また、被告ら自身にも十滋の親権者として充分な指導、監督義務があり、警察官から忠告を受けていたのに、十滋が無免許であるにもかかわらず、十滋車を購入し、乗りまわしており、本件事故当日には戦闘服を着用しているのを目撃していながら、なんらの注意を与えず、放置していたものであるから、損害賠償額の算定にあたり、過失相殺されるべきである。

4  損益相殺

本件事故による損害については、被告らが自認するものの他に、原告から被告らに対し一六〇万円の支払がなされている(仮に原告が右金員を損益相殺の対象にしないとの意思表示をしたとしても、被告らの強迫によるものであるから、本件第一二回口頭弁論期日において、これを取消す旨の意思表示をした。)。

六  原告の抗弁に対する認否

1  原告の抗弁1は争う。

2  同2は争う。

原告は被告らに対し、昭和五六年九月二三日に三〇万円、昭和五七年二月二七日に一三〇万円を支払い、本件損害賠償債務を承認している。また、昭和五七年一〇月二〇日ころにも右債務を承認している。

3  同3は争う。十滋が暴走族のメンバーであること及び当時小西と共に暴走行為をしていたとの点は否認する。

4  同4は被告らが原告から一六〇万円を受領したことは認めるが、右金員は本件損益相殺の対象としないとの合意がなされたものである。

第三証拠

本件訴訟記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりであるからこれを引用する。

理由

一  事故の発生

別紙目録記載のとおり本件事故が発生したことは各当事者間に争いがない(事故の態様の詳細については後記六1で認定のとおりである)。

二  責任原因

原告が本件事故当時原告車を所有していたことは各当事者間に争いがないから、原告は、原告車を自己の運行の用に供していたものと推認される。

原告は、原告の抗弁1のとおり本件事故発生時には原告は原告車につき運行の支配及び利益を失なつていたと主張し、いずれも原本の存在及び成立ともに争いがない乙第四四号証、第四六号証及び第五三号証並びに原告本人尋問の結果によれば、原告はそれほど親しくもないが顔見知りの小西から原告車を貸すように頼まれ、気は進まなかつたが、小西が腕力が強く、また原告車にはガソリンが乏しかつたことからそれ程長時間の走行もできないと考えて、小西に原告車を貸したこと、十滋は、無免許であつたこと、小西に頼まれて十滋車のガソリンを分けたことが認められるが、小西が喧嘩ごしであつたこと、十滋が不必要な急ブレーキをかけるといつた走行をしていたこと及び小西と共同して暴走行為をしていたことを認めるに足りる証拠はない。

右認定の事情からは、原告が本件事故当時その所有する原告車につき運行の支配及び利益を喪失していたとは認められず、他に原告の運行支配及び利益の喪失を認めるに足りる証拠はない。

三  損害

1  受傷、死亡

いずれも成立に争いのない乙第三号証及び第五号証によれば、反訴請求の原因3(一)の事実が認められる(死亡については各当事者間に争いがない)。

2  治療関係費

被告らが、十滋の右受傷に関して治療費として四八万八七九〇円、付添費として六〇〇〇円及び入院雑費として二〇〇〇円を要したことは各当事者間に争いがない。

その他被告らは文書代として一三〇〇円を要したと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。

3  葬儀費

弁論の全趣旨によれば、被告らは、十滋の葬儀を行なつたことが認められるが、十滋の年齢、家族構成、社会的地位等諸般の事情を考え合わせると、本件事故と相当因果関係のある損害としての葬儀費の額は五〇万円と認められる。

4  逸失利益

原本の存在及び成立ともに争いのない乙第六四号証、被告中井努本人尋問の結果により真正に成立したと認められる乙第七号証ないし第一二号証、第一五号証並びに被告中井努本人尋問の結果によれば、十滋は、本件事故当時一六歳で(この点は各当事者間に争いがない。)、職業訓練学校を卒業し、昭和五五年四月から堺市所在の日新モーターに整備士として一か月一二万一〇〇〇円の給与で勤務し始めたところであつたが、本件事故直前には三級自動車整備士の試験にも合格し、本件事故がなければ、同年六月から一か月一三万一〇〇〇円の給与及び年に四か月分の賞与(ただし、昭和五五年夏期賞与は一〇万円である。)を得られたはずであつたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

被告らは、十滋がその母親である被告ツネ子の経営する喫茶店でも稼働して一か月五万円の収入を得ていたと主張し、弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる乙第七五号証並びに被告中井努及び同中井ツネ子各本人尋問の結果中にはこれに沿う部分もあるが、被告らが本件訴訟提訴前に捜査機関の取調べにおいて右稼働について供述していたとは認められず、かえつて、前掲乙第一〇号証及び第六四号証によれば、十滋は、本件事故の一か月前に日新モーターに就職してからは残業も少なくなく、本給としては七万五〇〇〇円であるが付加給として四万六〇〇〇円を支給されていることも認められ、これに対比して前記各証拠の内被告らの右主張に沿う部分はにわかに採用することができず、他に十滋が訓練生であつたときはともかく、日新モーターに就職後の時点で、右勤務先からの給与の他に収入を得ていたことを認めるに足りる証拠はない。

弁論の全趣旨及び経験則によれば、十滋の就労可能年数は死亡時から五一年、生活費は収入の五〇パーセントと考えられるから、同人の死亡による逸失利益を年別のホフマン方式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると(なお、昭和五五年四月分及び五月分の実給与との差額各一万円、同年夏期の賞与分が二か月分の二六万二〇〇〇円として十滋の支給予定額との差額一六万二〇〇〇円を控除する。)、左記算式のとおり二六〇〇万〇八一二円となる。

(算式)

一三万一〇〇〇×(一二+四)×(一-〇・五)×二四・九八三六-(一万×二+一六万二〇〇〇)=二六〇〇万〇八一二

5  慰藉料

本件事故に至る経緯及び事故の態様、十滋の年齢、親族関係その他諸般の事情を考えあわせると、十滋死亡による慰藉料額は一一〇〇万円とするのが相当であると認められる。

四  権利の承継

被告らと十滋の身分関係については各当事者間に争いがなく、右事実及び弁論の全趣旨によれば、被告らは各二分の一の割合で、相続により十滋の損害賠償請求権を承継取得し、固有の損害につき分担支出したことが認められる。従つて、被告ら各自の損害額は一八九九万八八〇一円となる。

五  時効について

本件事故発生日が昭和五五年五月二日であることは前記のとおりであり、同日から既に三年が経過しているが、成立に争いのない甲第二号証、原告本人尋問の結果によるば、原告は被告らに対し昭和五六年九月二三日本件損害賠償の一部として三〇万円を支払つたことが認められ、同日、右債務を承認したものとして時効が中断しているから、原告の抗弁2は失当である。

六  過失相殺

1  前掲乙第四四号証及び、第四六号証並びにいずれも原本の存在及び成立ともに争いのない乙第二九号証ないし第三八号証、乙第四二号証第四三号証、第四七号証ないし第四九号証、第五二号証、第五五号証の一、二、第五六号証ないし第六〇号証及び第六三号証(乙第五五号証の二、第五八号証及び第六三号証中後記採用しない部分を除く。)によれば、次の事実が認められる。

小西は、本件事故当日の午後三時半ころから午後八時半ころまで、その居住する丸笠団地(当時被告ら一家も居住していた。)の知人方でビールを約一〇本飲み、かなり酔つていたが、気が大きくなり自動車を運転して喫茶店に行こうとして、前記のとおり原告から原告車を借り受けた。ところがガソリンが乏しかつたため十分走行しないうちに原告車は動かなくなつた。そこで、小林、原告らが集まつて原告車を押したりしていたところ、十滋が友人の中川重則と共に銭湯から帰つてきて通りかかり、十滋は十滋車を運転して原告車が止まつている所に行き、小西から頼まれ、同車のガソリンを原告車に分けた。その後十滋は中川と居住する団地の周辺を一周してこようと思いつき、十滋が運転し、中川が後部座席に同乗して運転し始めた。ところが、小西は、酔余気が荒くなつていたため、ガソリンを分けてもらつたことについて礼を言つたのに対する十滋の態度に立腹し、十滋をおどしてやろうとして後を追い始めた。本件道路は、幅員約四・五メートルのアスフアルト舗装の道路であり、最高速度が時速二〇キロメートルと指定されている。十滋は、十滋車を運転して、本件道路中央付近を時速約六〇キロメートルに一定して走行していた。これに対して、小西は小西車を運転してきて、十滋にいやがらせをしようと考え、時速約七〇キロメートルにまで加速して十滋車の後方わずか四、五メートルにまで接近しては急ブレーキをかけるといつた方法で走行していた。本件事故現場に至つた際、十滋は、左前方に歩行者が佇立しているのを認めて、アクセルをゆるめて減速したところ、小西は、酒に酔い(呼気一リツトル中〇・六五ミリグラムのアルコールを身体に保有していた。)、かつ前方の十滋車の動静を十分注視していなかつたため、十滋車の減速に気づくのが遅く、原告車左前部を十滋車後部に衝突させて転倒させたうえ、十滋の身体を轢過したものである。

原本の存在及び成立ともに争いがない乙第三九号証の二並びに前掲乙第五五号証の二、第五八号証及び第六三号証中右認定に反する部分は前掲各証拠に対比して採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

なお、原告は、本件事故当時十滋は小西と共に暴走行為をしていたと主張するが、十滋が高速で走行していたことはともかく、自ら急加速、急制動していたことあるいは小西と共同して暴走行為をしていたことを認めるに足りる証拠はない。

2  右認定事実によれば、小西は、事故前大量に飲酒していながら、小西車を運転し、十滋にいやがらせをしようとして、車間距離を十分とらずに急加速、急制動をくり返し、かつ前方を十分注視せずに走行した過失があると認められる。

なお、十滋が無免許であり、制限速度を大幅に超える時速約六〇キロメートルで走行していたことは、いずれも本件事故の発生に直接因果関係を有するものとは認められない。従つて、十滋及び十滋の親権者として、車両を運転させないよう十滋を指導監督すべき義務を怠つた被告らに過失があるとする原告の主張は、過失相殺の事由としては失当である。その他、十滋及び被告らに損害賠償額の算定に当つて斟酌しなければならない程の過失があるとは認められない。

七  損害の填補

反訴請求の原因5の事実は各当事者間に争いがない。その他原告が被告らに対し一六〇万円を支払つたことは各当事者間に争いがなく、被告らは、右金員については見舞金であつて損益相殺の対象としない旨当事者間で合意したものであると主張し、成立に争いのない乙第七三号証中にはこれに沿う部分も存するが、交通事故に関して加害者側から被害者側に対して一六〇万円もの金員が支払われたものであることから、社会通念上原告には右金額を損益相殺の対象とする意思まで有していたことは認めることができず、諸事情を考慮すれば、右金員の内一〇万円を超える部分(一五〇万円)は、支払名目にかかわらず、被告らの損害額から控除することが相当である。

弁論の全趣旨によれば、被告らは右各支払金につき各二分の一の割合でその損害に填補したものと認められる。

従つて、被告らの前記各損害額から右各填補分一〇九九万八三四五円を差引くと、残損害額は、被告ら各自八〇〇万〇四五六円となる。

八  弁護士費用

本件事案の内容、審理経過、認容額等に照すと、被告らが原告に対して本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は八〇万円とするのが相当であると認められる。

九  結論

よつて、原告の本訴請求は、原告の被告ら各自に対する本件事故に基づく損害賠償債務が、金八八〇万〇四五六円及び内弁護士費用を除く金八〇〇万〇四五六円に対する本件不法行為の日である昭和五五年五月一一日から支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を超えて存在しないことの確認を求める限度で理由があり、被告らの反訴請求は右各金員の支払を求める限度で理由であるから、いずれもこれを認容し、その余の本訴請求及び反訴請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 長谷川誠)

別紙 目録

日時 昭和五五年五月一一日午後一〇時一五分頃

場所 大阪府和泉市伯太町四丁目五番三八号先路上(以下「本件道路」という。)

加害車 普通乗用自動車(泉五五つ九四三九号、以下「原告車」という。)

右運転者 小西秀雄(以下「小西」という。)

被害者 中井十滋(以下「十滋」という。)

態様 被告車が十滋運転の自動二輪車(以下「十滋車」という。)に追突したもの

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